ブログタイトル

2024年2月16日  ♪本阿弥光悦展

発表会準備にあわただしくなってきた2月の初旬、少しゆったりした気分になりたくて、国立博物館の「中尊寺金色堂展」と「本阿弥光悦展」を観てきました。

中尊寺はご承知の通り、岩手県平泉にある天台宗東北大本山です。金色堂は、中尊寺建立当初の姿を現在に伝える唯一の建造物だそう。今回、建立900年を記念して、その金色堂の特別展が開催されています。

普段、御堂に安置されている時には、正面からしか拝観できない仏様も、真横や背面など、360度観ることが出来ます。現在の金色堂の仏像は、制作年代が混淆されているということですが、仏様の衣の意匠など、その技術力の高さに驚かされます。
平安時代の東北地方にこれほどの文化水準を誇った藤原氏の力はいかばかりであったか、と感銘を受けました。

さて、はしごをした本阿弥光悦展です。

本阿弥光悦は、書や作陶など、さまざまな作品を遺している天才。殊に、俵屋宗達とコラボレーションした作品は、有名ですね。今回も宗達下絵の「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が展示されていました。
書についてはよくわからないのですが、宗達のリズミカルな鶴の下絵に合わせて、時に太く、時に繊細な線で、と自在に筆を操って書かれた和歌の書は、下絵と一体になって、画としてとても美しい、といつも思います。書についてわかったら、もっと堪能できるのでしょうね。

私が楽しみにしていたのは、最終展示室に展示された楽茶碗です。楽家初代長次郎の赤楽と黒楽、そして天才道入の赤楽と黒楽、これは茶道を嗜んでいる身としては見逃すことは出来ません。
光悦は楽家から土を取り寄せ、楽家の窯で作品を焼いてもらっていたということで、楽家とはとても関わりが深いのです。

初代長次郎の黒楽「万代屋黒」は小ぶりで引き締まり、緊張感のあるたたずまい。 利休居士の 詫びさびを体現しているかのような姿です。
対して、光悦の茶碗は、変幻自在。「村雲」「時雨」などの詩情溢れる景色は、楽家の茶碗とは全く違う趣でした。中でも、赤楽「乙午前」の愛らしいこと。信じられないくらい薄い作りで、ぽってりと尻張りの丸みを帯びた姿は、見ているだけで楽しくなります。

建立900年特別展「中尊寺金色堂」は4月14日まで、「本阿弥光悦の大宇宙」は3月10日まで、いずれも上野の国立博物館で開催されています。お時間がありましたら、ぜひ足を運んでみて下さい。

アイキャッチ画像は、俵屋宗達下絵「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」です。


<< ブログ一覧に戻る